お客様事例紹介

農事組合法人 原の辻 山川 輝光様〈密苗〉

農事組合法人 原の辻(はらのつじ)
理事長

山川 輝光様

  • 地域 : 長崎県壱岐市
  • 掲載年 : 2022年
  • 作物・作業 : 水稲(23ha)/麦(15ha)/大豆(5ha)/玉ねぎ(1ha)/ミニトマト(5a)
  • 密苗導入面積 : 23ha
  • 栽培品種 : つや姫、 なつほのか、WCS

密苗のおかげで、作業時間の1/3を削減!コストカットにもつながりました。

水稲栽培が盛んな県内有数の穀倉地帯

今回、訪れたのは長崎県壱岐市。九州の玄界灘に浮かぶ総面積138k㎡の平坦な島だ。対馬暖流の影響を受ける温暖な海洋性気候と、豊富な地下水により水稲の生産が盛んに行われている。小さな島ながら、県内で2番目に広い深江田原平野を有する穀倉地帯としても知られている。圃場整備事業により、大区画化された水田で集落営農が展開されていることが特徴だ。
農事組合法人 原の辻も集落営農組織の一つで、代表の山川さんを筆頭に23名の組合員で構成されている。水稲栽培の作型は、食用米の『つや姫』を栽培する早生(播種3月、田植え4月)と、なつほのかを栽培する中生(播種5月、田植え6月)、WCSを栽培する晩生(播種7月下旬、田植え8月上旬)を組み合わせている。WCSは葉たばこの収穫後に取り掛かるので通常よりも遅い時期の栽培になるそうだ。この日(2022年7月24日取材)はちょうどWCSの播種作業の日で、組合員の方々が協力して行っておられた。

効率化やコスト削減などさまざまな面でメリットを実感。

約6年前にヤンマーからの提案で密苗を知り、現在は水稲の作付面積23haすべてを密苗で栽培しておられる。地域の課題である人手不足を解消できるのではないかと考えての導入だったと振り返る。
では、密苗栽培を実施してどのような変化があったのだろうか。「慣行時は6,000枚必要だった苗箱が、密苗にして4,200枚に減りました。以前は育苗の際にハウスを2棟使用していましたが、密苗にしてからは1棟で収まります。」と山川さん。慣行時は乾籾150~160g/箱を播種していたが、密苗では乾籾270g/箱を播種しているとのこと。苗箱数を大幅に削減できた分、育苗に必要な培土の量も減り、コスト削減にもなったと笑顔で話してくださった。

苗箱数が2/3に減ったことであらゆる作業の省力化に成功!

作業面でもメリットがあったようで、これまでと同じ人員、同じ作業内容で大幅な時間短縮を実現。苗箱数が2/3に減ったことで、散水などの育苗作業はもちろん田植え後の苗箱洗浄など、あらゆる作業の時間短縮や省力化ができたと手ごたえを感じてくださっている。
苗箱数が減るということは、田植え作業の効率化にもつながる。慣行時は10a当たり約20枚の苗箱を使用していたが、密苗にしてからは11枚程度になり、田植機への苗の補充回数が大幅減。「少しどころじゃなく、だいぶ楽になりました」と、うれしいお言葉をいただいた。

農事組合法人 原の辻 組合の皆さん
農事組合法人 原の辻 組合の皆さん

高密度に播種する密苗は、播種から育苗までの作業にひと工夫。

育苗管理で慣行と密苗の違いがあるかお聞きしたところ「種籾の選別と育苗期間の水管理。この2点は、これまで以上に気を付けています」との回答が。1点目の種籾の選別は「塩水選」を実施。浸種する前に、種籾を塩水に浸し浮いた籾を丁寧に排除する。慣行時もこの作業は行っていたが、高密度に播種する密苗はこの作業がとりわけ重要になると説明してくださった。そして2点目、苗の水管理は何度も試行錯誤しながら最適な水量を調整しておられるそう。「ムラなく出芽させ育苗するために多少の手間はかかりますが、その後の工程はスムーズにいくので特に問題はなですね」と試行錯誤されながらも、長年の経験を活かして難なくコツをつかまれているようだ。

最新の田植機YR-DAに試乗。直進アシスト機能に期待。

田植機はRGシリーズに密苗キットを装着して使用いただいており、植付精度も満足と山川さん。
ヤンマーとのお付き合いは、山川さんが理事に就任された時にはすでに始まっていた。「田植機の他にも、トラクターやコンバインなどほとんどがヤンマーの製品を愛用しています。機械の調子が悪くなっても、電話一本ですぐに駆け付けてくれる。他のメーカーさんにはない対応力にはいつも助けていただいています」とのお言葉に、厚い信頼を寄せてくださっていることがうかがえた。
以前、同法人のほ場をお借りし、新型YR-DAシリーズの直進アシスト田植機試乗会を開催させていただいた。試乗された山川さんに、改めてその時の感想を伺った。「走行中はほとんど手放しで運転できることに驚きました。オペレーター経験のない人でもカンタンに運転できるんじゃないでしょうか」と、直進アシスト機能をはじめとした最新の機能に高い関心を寄せていただいている。

農業の未来のために密苗は欠かせないと実感している。

全国的に深刻化している農家の高齢化や後継者不足は、ここ壱岐市でも大きな課題となっている。「今の作付け規模をどうやって維持していくかがこれからの課題です。大型ほ場を維持していくためには、中間山地の小さく手間がかかるほ場は削っていかざるをえないでしょう」と話してくださった。大型農業機械が使える大型ほ場を優先し、コストの削減と効率的な生産に注力することで、人手不足や高齢化の問題解決に近づけたいと考えておられるようだ。「そのためにも、密苗は今後も継続していきます」と力強く答えてくださった。

写真左から 山西さん、壱岐支店 吉永担当、山川理事長
写真左から 山西さん、壱岐支店 吉永担当、山川理事長

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4~8条まで、密苗にベストマッチな田植機

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