農事組合法人 上高家
代表理事
津々見 辰雄様
- 地域 : 大分県宇佐市
- 掲載年 : 2022年
- 作物・作業 : 水稲
- 密苗導入面積 : 15ha
- 栽培品種 : ヒノヒカリ(15ha)
農事組合法人 上高家
代表理事
農事組合法人上高家は、大分県最大の水田面積を誇る宇佐市において、水稲作を行っている津々見辰雄さんが代表理事を務める法人。インタビュー当日は、従業員の方々にも駆けつけていただいた。代表の津々見さんは新しいことに積極的に取り組む行動派。現在、従業員は津々見さんを含む6名で、当法人が担っている15haの水田すべてにおいて、今年(2021年)初めて密苗にチャレンジされた。当法人では、少ない労働力でどのように水稲栽培を行っていくかが課題となっていた中で、ヤンマーから密苗の紹介をうけたのが密苗導入のきっかけとなった。ご親戚が密苗に取り組まれていたこともありその結果も踏まえ、とにかくやってみようと密苗をスタートさせたとのこと。
密苗を始める事に不安はありませんでしたかとお聞きすると、津々見さんは「はじめはうちで密苗ができるだろうかと正直半信半疑でした。特に播種量を乾籾で今までの倍量の300g播いているので、芽を出すまで、発芽するまでは寝ても寝られないくらい不安で、芽が出なかったらどうしようかと思ってね」「でもヤンマーさんが親身になって密苗について教えてくれました。今年実際に取り組んでみてよかったという気持ちです」と笑顔でお答えいただいた。
「密苗にして、まず苗箱数が減少したことがすごくありがたいです。苗場のスペースも半分近くで済むようになり、苗管理の省力化につながりました」と津々見さん。
また、オペレーターの岩男さんは、「人員が少ない中で田植えをやるので、一番大変だった苗運びが楽になったのと、今まで30aの田んぼで3回から4回ぐらい苗補給をしていたのが1回ほどで済むようなりました。苗補給にかかる時間は5分、10分という短い時間ですが、その積み重ねが時間短縮につながり、全体で考えれば大きな差が出てくると思います」「10a当たりの使用苗枚数は、50株植えで、慣行苗の時は13~14枚だったのが、密苗では6~7枚くらいで済みます。6枚を切る田もあるくらいです」と密苗導入の省力効果をオペレーターの立場で実感していらした。
当初密苗にして収量がどのくらい変わるだろうと不安を感じていた津々見さん。実際収量や品質にどのような変化があったかをお聞きすると、「慣行苗に比べて密苗の方が、少し株が大きく張ったのかなという感じがあり、今年は収量が10a当たり7.5から8俵くらいと昨年と比べて多少プラスになったんです」「また去年までヒノヒカリは、乳白米が結構多かったのですが今年は乳白米が少し少ないんですよ。そこも変わったのかなあと思います。自分たちも会社のお米を食べていますけど、美味しいですね」と収量、品質とも今年は合格点とのこと。
九州地域では、ジャンボタニシによる田植え後の苗食害が大きな問題になっており、宇佐市も同様とのこと。津々見さんに密苗を田植えする際に、ジャンボタニシ対策で注意している点をお聞きすると、「ジャンボタニシは、水深が深いほど入ってくるんです。だから植えた苗にかぶるような深水にしないことが大切。うちは田の均平が悪いところがあって、低いところではジャンボタニシにやられ植えなおした所もあります。だからジャンボタニシの多い場所では、水の深さには十分に注意し、田植えの際は水張りをしないような状態で植えています」とのこと。ジャンボタニシ対策は慣行苗も密苗も変わらないという。
最後に津々見さんにこれからの密苗の取り組みについてお聞きすると「うちはこれから密苗を多めに栽培して、その生育状況のデータを積み重ねていかなくてはいけないと思っています。そして現在、法人では地域の慣行苗も作っているのですが、うちで苗を作っている人たちが皆密苗にしたいとなることを願っています」と力強く語ってくださいました。
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