有限会社コスモ21
代表取締役
藤原 康正様
- 地域 : 島根県仁多郡
- 掲載年 : 2021年
- 作物・作業 : 水稲/作業受託
- 密苗導入面積 : 70ha
- 栽培品種 : こしひかり(68ha)、ココノエモチ(2ha)
有限会社コスモ21
代表取締役
藤原康正さんが代表を務める有限会社コスモ21は、「仁多米」ブランドで有名な島根県奥出雲町で、水稲70haを経営されている。決して条件が良いとは言えない中山間地域で、5人の従業員とともに、現在作付けしている650枚の田すべてで密苗栽培を行っている。
藤原さんが密苗技術を知ったのは6年前。ヤンマーの密苗という技術で苗箱数が1/3になるという新聞記事を見つけたのがきっかけだった。
「年々(水田の)受託面積が増えてくる中で、毎年2haから3haの面積を地域の農家さんから請け負っているのですが、その中で我々が悩んでいたのは第一に省力化という課題でした」と密苗導入前の状況を述べられた。もしこの密苗という技術が本当に実現可能なら、確実に省力化の課題解決につながるはずだとヤンマーにすぐに問い合わせたとのこと。
そして、2017年、藤原さんは同じ奥出雲町内で行われていた密苗栽培の経過を見て、自社で密苗を導入しても大丈夫だと確信。2017年当時60haの作付けをされていたが、作付面積の半分を密苗、もう半分を慣行で行うとなると、逆に作業がしにくくなると判断。翌年思い切って全60haを、一気に密苗へ切り替えられた。
密苗導入のメリットをお聞きすると「うちは以前から播種、芽出しは自社で、育苗作業は地域の農家さんに外部委託しています。密苗にしたおかげで、自分たちで播種する苗箱数が今まで10,000枚だったのが半分の5,000枚になり、加えて培土などの資材経費も半分になりました」「当然、委託先にお願いする育苗苗数も半分になり、こちらも低コスト化につながりました」と密苗導入の効果を実感したとおっしゃってくださった。
密苗の苗管理方法については「育苗期間は、地域が寒冷地であることもあり、密苗でも慣行栽培と変わらず30日くらいはかかります。苗が小さすぎると移植後の水管理が大変なので委託先には苗丈15㎝くらいを目標に育苗をお願いしています。寒いので徒長苗になることもないです」と寒冷地での育苗についてお話くださった。
また、「密苗を導入したおかげで、年々増える水田の受託面積も無理なく引き受けることができ、作付面積60haから4年後の現在、70haまでスタッフの人数を変えることなく、面積を増やすことができました」と笑顔で語ってくださった。
移植時の補助者の作業について藤原さんは「自分も補助者として作業したこともあるのですが、密苗を導入したことによって、6条田植機の場合20aの田植えでしたら苗継ぎが1回もいりません。その空いた時間に次の田植えの準備や、水の管理など違う仕事ができます」と補助者の作業効率アップも密苗導入のメリットにあげてくださった。補助者の皆さんは「密苗栽培をやめないでほしい」とおっしゃっているとのこと。
研究熱心な藤原さん、密苗導入1年目、2年目、3年目と植え付け株数を変えたり、苗取量を変えたり、使用苗箱数を今まで18枚/10aのところを9枚にしたり8枚にしたり色々チャレンジされたそうだ。現在は乾籾で1箱当たり280g播種、10a当たり8.5枚、50株植えで収量・品質ともに今までと変わらない栽培ができているとのこと。
密苗で気になる点はありましたかとお聞きすると「特に移植から約1ヶ月間は周りの苗に比べてどうしても若干小さいかなのかなというのはありましたが、1ヶ月経ってしまえば全く同じ状態になりました。あと、出穂期、登熟期が2~3日ぐらい遅れ気味な部分も気にはなりましたが、その後の収量、品質に何も問題なかったので、デメリットというほどのデメリットではありません」とお答えいただいた。
「まず、ヤンマーの密苗田植機はやっぱりディーゼルエンジンなのでパワーがあります」と今まで使っていたガソリンエンジンの田植機と比べてパワーの違いを感じられたとのこと。
田植機の植付精度については、「毎年移植した後に、田の中に入って植え付けた苗数を数えて見まわるのですが、設定した通りに3本から5本の苗をしっかりと植え付けしてくれています」とその精度の高さにも満足のご様子。
加えて、密苗田植機YR6Dの購入をきっかけに、ヤンマーの農繁期における農機具のメンテナンス・修理対応、きめ細かなアフターサービスに大変感心され、農業用ドローンの購入や新たなライスセンター建設の依頼、来年には新たに2台のコンバインも購入予定と、ヤンマーに信頼を寄せていただいているとのことだった。
藤原さんにこれからのビジョンをお聞きすると、「今、全国的に農業に従事されている方のリタイアが非常に多くなっています。我々は農地を守っていかなくてはいけないという使命がありますし、もちろん一方では経営面もしっかり考えていかないといけません。これからも受託面積を増やし100haは頑張っていきたいと思います」「その中で密苗技術は欠かせませんし、ヤンマーにはこれからも第二の密苗栽培技術を作っていただきたいです」と最後に期待を込めたエールをいただいた。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
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