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近年の暖冬の影響で被害地域が広がりつつある
ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の食害。
「省力化のために密苗を導入したいが、ジャンボタニシの食害が心配」、
「どのような対策が有効なのか知りたい」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このページでは、ジャンボタニシの対策方法のほか、
実際に密苗を導入されている方の対策事例をご紹介します。

ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)とは ジャンボタニシ対策 密苗導入者の対策事例

南米原産の湛水に生息する巻き貝の一種で、生育初期の稲やレンコン等を加害します。
1981年、台湾から食用目的で輸入されましたが、後に野生化。おもに関東以西で発生が確認され、2022年には35府県で発生が確認されています。
田植え後、約3週間までの柔らかく小さな苗を好んで食害します。

繁殖力が高く、年間産卵数は3000個以上、卵塊は200~300個程度の卵からなり、濃いピンク色で水上の植物体や外壁に産み付けます。
孵化までの期間は25℃で約2週間。
夏季に生まれた貝が秋までに殻高1~3cmになり、土中で越冬します。越冬した個体は翌年の春に水田へと入水し、活動を再開します。
乾燥に強く、水がなくても半年以上生存が可能です。一方で耐寒性は高くなく、-3℃では多くの個体が死に至ります。

参考:農林水産省HP「スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害防止対策について」より

ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ、以下、ジャンボタニシ)は水中でないと摂食できず、水深が浅いと活動が制限されるため、水深を4cm(理想は1cm)以下に維持することで実害を防ぐことができます。

  • 浅水管理は、移植後3週間(食害を受けにくい5葉期)まで行いましょう。
  • 水位が極端に低下すると活着・初期生育への影響があるほか、除草剤の効きが悪くなり、雑草の問題が生じます。水位センサー等を活用して、適切な水管理をこまめに行いましょう。
  • 凹凸があるほ場では、田面の深いところで貝が活動しやすく集中的に食害が生じます。秋冬季のレーザーレベラーの利用や田植え前の代かきを丁寧に行うことなどにより、ほ場の傾斜や凹凸をなくすことが重要です。
  • 関連機器

    レーザ装置の自動制御により、高低差±2.5cmの精度で水平均平を行うことができます。

    回転爪で地面を砕き、攪拌することで水田の土をやわらかく、均平にすることができます。

    スマホで水管理ができ、今まで大変だった水管理の負担を大幅に軽減できます。

    厳寒期前のロータリー耕うんによりジャンボタニシを物理的に破壊するとともに、寒風にさらすことで殺貝効果を高めることができます。

  • 破砕効果を高めるために、土壌水分が少なく田面が硬いときに耕うんを行い、トラクターの走行速度を遅く、PTO回転を速く(ロータリーの回転を速く)し、土壌を細かく砕くように耕うんしましょう。
  • 土壌の性質によって適切な耕うん深度は異なるため、地域において事前に確認を行いましょう。
  • トラクターを移動させる際は、貝を別のほ場に持ち込むのを防ぐために、爪やアタッチメントもよく洗いましょう。
  • ロータリー耕で物理的に破壊、地表で寒風にさらす。
    関連機器

    汎用性に優れ、砕土・整地を行います。各種アタッチメントの装着により、耕うん同時施肥など、幅広い作業で使用することができます。

    砕土・鎮圧し、保水性と透水性を両立した理想的な土壌環境がつくれます。

    殺貝効果のある石灰窒素をほ場に散布することで、貝密度を下げる効果があります。

  • 防除にあたっては、石灰窒素の使用時期、使用方法、使用量、回数等を遵守してください。
  • 活動していない貝には効果がなく、水温15℃以下では殺貝効果が著しく劣るため、水温17℃以上の時期に散布しましょう。
  • 石灰窒素は水中での加水分解によりスクミリンゴガイに毒性を示す遊離シアナミドが生成されるため、湛水は必須です。
  • 本剤は稲の生育に悪影響があるため、稲の栽培期間中は散布しないようご注意ください。
  • 粗起こし後、3~4cm水を張り、3~4日放置して貝を活動状態にします。
  • 石灰窒素(参考:20~30kg/10a)を全面に散布後、3~4日湛水を保ち、貝を致死させます。
  • 代かき後は2~3日以上経ってから田植えを行います。
    (稲に対する薬害を避けるため、散布から田植えまで少なくとも7日以上空けましょう)
  • 魚毒性が高いため、漏水防止対策を行うとともに、散布後7日間は落水、かけ流しはしないでください。
  • 石灰窒素は窒素成分を多く含むため、基肥の量を減らすなどの調整が必要です。窒素過多で倒伏しやすい品種では、石灰窒素の使用を控えてください。
  • 稲刈り後、水温が17℃以上のときに3~4cm水を張り、1~4日放置して貝を活動状態にします。
  • 石灰窒素(参考:20~30kg/10a)を全面に散布後、3~日湛水を保ち、貝を致死させます。
  • 田面水は水路に流さず、自然落水させてください。
  • 石灰窒素は窒素成分を多く含むため、次作の施肥量に注意してください。
  • 関連機器

    粉状肥料散布から粒状鶏ふん(5mm以下)や米ぬか(含水率35%以下)、魚カスなどの有機肥料を散布することができます。

    粉状肥料をはじめ、粒、微粒剤、鶏ふん、有機ペレットなど幅広い肥料を散布することができます。

    お客様事例紹介のインタビューから、ジャンボタニシ対策に関する内容をご紹介します。

  • 掲載内容は取材当時の内容です。
  • 《和歌山県》

    農業生産法人 ライスジャパン株式会社 社長 寺前 彰彦様
    和歌山の場合はジャンボタニシによる食害があるので、あまり若い苗を植えるとどうしてもタニシに食べられてしまうということがあります。和歌山では6月から田植えが本格的になりますので、他県と比べると約一ヵ月生育が遅い状態で移植が始まります。それをカバーするために苗を少しでも大きくして移植するように心がけています。

    《香川県》

    個人専業農家 福田 光男様
    田んぼの水を抜いてから植えて、移植後2~3日は水を入れません。水を入れないことでタニシ被害を最小限にできるのと、浮き苗を防ぐことができます。

    《福岡県》

    アグリプロ株式会社 代表取締役 松蔭 利幸様
    育苗がうまくできればジャンボタニシは慣行栽培と同じ駆除で問題ないと分かりました。強い苗を本田に植えることで、タニシ被害が非常に少なくなるだけでなく、活着が早く分けつも慣行苗と同じスピードで始まります。密苗にしたことで被害が拡大したり、生育に遅れがでたりということはありません。

    ジャンボタニシの被害防止対策資料をご覧いただけます。

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