2024.09.10

子供はなぜ「緑の野菜」を嫌う?管理栄養士にオススメレシピと一緒に聞いてみた

子どものすこやかな成長のために、ぜひたくさん食べてほしい野菜。でも、とくにピーマンやほうれん草、ブロッコリーといった緑の野菜は、見た目からして子どもに避けられがち……。

好き嫌いの克服って、どうやってサポートすればいいの? 食べ方の工夫や言葉がけのポイント、具体的なオススメレシピを、管理栄養士のmakoさんにうかがいました。

mako(まこ)

病院・特別養護老人ホーム・精神障害者生活訓練施設にて勤務。現在はフリーの管理栄養士として活動。コロナ禍に息子を出産し、離乳食の難しさに直面。同じように悩む親の役に立ちたいとInstagramで発信を開始。偏食改善アドバイザーの資格を取得し、離乳食や偏食に悩む親たちに向けてカウンセリングや講座を行っている。
Instagram @mako1208t

そもそもなぜ、子どもは「緑の野菜」を嫌うのか?

makoさんによると、子どもの好き嫌いがはじまるのは「離乳食期」と「1歳半ごろ」の2パターン。離乳食の段階で野菜入りのものを受け付けない子もいれば、1歳半くらいから食材を選り好みするようになる子もいるといいます。

どちらの時期でもピーマンやほうれん草、ブロッコリーといった緑の野菜は、苦手な子が多いもの。その理由を、makoさんは「生き物の本能からくるもの」だと説明します。

「緑の野菜は、もともと苦みやえぐみのあるものが多いんです。そうした風味を、生き物は本能的に『毒』や『異物』だと感じます。本能にしたがって生きている子どもたちも、つい拒否をしてしまうんです。

しかも、一度ピーマンで嫌な思いをしたとしたら、次はほうれん草を見ても『緑色の食べ物はイヤなものだ』と、ひとくくりに考えてしまうことが少なくありません」(makoさん)

木のテーブルに置かれたほうれん草とピーマン、パプリカの写真

好き嫌い克服のコツは、声かけや調理の工夫にも

とはいえ、どうにか野菜をおいしく食べてもらうコツはないのでしょうか?

「大切なのは、子どもの気持ちに合わせてアプローチを変えることです。気分次第で食べられそうな子には、飾り切りを入れたりかわいいピックを刺したりして、楽しい雰囲気を演出するのがオススメ。親が苦手な野菜にあえて挑戦させて、例えば『ママは食べられないのに〇〇ちゃんはすごいね!』などと盛り上げるのもいいですね。

拒否感が強くて繊細な子には、目立たないように料理に入れつつ『細かく刻んであるからよかったら食べてみて』『イヤなら出してもいいからね』と伝えるなど、苦手・嫌いな気持ちに寄り添ってあげたいところです。ポイントは、野菜を入れたと正直に言うこと。あとで気づかれた場合、保護者への信用がなくなり、食事のたびに疑心暗鬼になってしまいます。理屈が通じやすい子には、食育の絵本などで野菜を食べる意味を説明するのもいいでしょう」(makoさん)

子ども自身が食べることに前向きになってきたら、調理の工夫も有効だとmakoさんは語ります。たとえばピーマンは縦の繊維に沿って切ると苦みが出づらく、反対に繊維を断つように切るとやわらかく仕上がるのだそう。子どもの好みに応じて切り分けましょう。

「ほうれん草や小松菜は、たっぷりのお湯でゆでるとえぐみが抜け、ぐっと食べやすくなります。油を使うと苦みをマスキングできるため、焼いたり炒めたりするのもオススメです」(makoさん)

ピーマンやほうれん草もペロリ! makoさんオススメの野菜レシピ2選

makoさんのInstagramアカウントでは、子どもの偏食改善レシピが大人気。そんな彼女に、緑の野菜をおいしく食べられるレシピを教えてもらいました。

ポパイカレー

ポパイカレーの写真

「子どもが大好きなカレーは、苦手な具材を小さくかわいく切るのもオススメです。茹でたほうれん草は最後にトッピングするので、子どもが食べられそうな量や細かさに調整できるのが便利!」(makoさん)

ピーマンそぼろ

ピーマンそぼろの写真

「見た目も味も苦手な子が多いピーマンは、彩りがきれいなパプリカをプラスすることで抵抗感を減らせます。細かく刻みすぎるとかえって苦みが出るから、気をつけて。」(makoさん)

好き嫌いは親のせいじゃない。子どもとの楽しい食事の思い出作りも大切

「ただ、お子さんがどうしても嫌がる場合は、無理しないで。偏食はママやパパのせいではありません」と、makoさん。同じように育てている兄弟姉妹でも、食の好みは異なるもの。好き嫌いと日ごろの料理の味も、ほとんど関係がないのだそう。脳が発達し、本能や反射的な拒否が落ち着いてくる4歳ごろから、自然と偏食がおさまってくるお子さんもいるのだとか。

「もちろんバランスよく食べてくれるのが一番だけれど、緑の野菜でしか摂取できない必須の栄養素というものはありません。ほかの食べ物でも充分に補えるんです。偏食の改善は、長い時間をかけてじっくりと行うもの。少しずつチャレンジの幅を広げながら『食べられる未来』に向かって、一緒に歩んでいってあげましょう。

信頼しているママやパパが野菜をおいしく食べている姿を見せるのも効果的。そうした思い出が、いつかの一口につながっていきます。とくに旬の野菜はおいしくて栄養価が高いため、うまく取り入れられるといいですね。家でつくるのが大変なときは、外食でもまったく問題ありません」(makoさん)

YANMAR MARCHÉ NAGAIの外観写真

ヤンマーは、FUTURE VISIONのひとつである「食の恵みを安心して享受できる社会」の実現に向けて、食事業を展開しています。そんなヤンマーの食事業を担うのが「ヤンマーマルシェ」。「美味しさのぜんぶをつくる」をvisionに掲げ、これまでヤンマーが培ったネットワークやノウハウを活かし、生産者と消費者をつなぐ取り組みをしています。大阪・長居公園にあるヤンマー直営のレストラン「YANMAR MARCHÉ NAGAI」では、これまで農家などの一次生産者向けに事業展開してきたヤンマーらしい、野菜やお米にこだわったメニューを提供しています。おいしいだけでなく、フードロスを削減するサステナブルなメニューも取り揃えています。いつもと違う雰囲気や素材にこだわった料理でなら、苦手なものにチャレンジする気持ちが芽生えるかもしれません。

子どもの好き嫌いを改善するポイントは、とにかく思い詰めすぎないこと。いつか緑の野菜と親しめる日が来ることを信じて、今日も食事を楽しみましょう!

写真提供:mako
取材・文:菅原さくら

〈レシピ情報〉

ポパイカレーとピーマンそぼろの写真

ポパイカレー(写真左)

▼材料(大人4人分)
合挽肉:200g
じゃがいも:中2個
たまねぎ:中1/2個
にんじん:中1/3〜1/2本
水:700cc
ほうれん草:1/2株〜
カレールー:150g
トッピング:コーン缶やにんじんなど(有無や分量はお好み)

▼つくり方
①じゃがいも、たまねぎ、にんじんはそれぞれ皮を剥き食べやすい大きさに切る。たまねぎは1cm角、にんじんは1cmの大きさで薄切り、じゃがいもは1.5cm角程度に。
②鍋を中火で熱し、食べやすい大きさに切った鶏もも肉を炒める。焦げつきやすい鍋の場合は分量外の油を小さじ1〜程度入れる。
③肉の色が半分ほど変わったら①の野菜を入れ2分程度油を絡めるように炒める。
④水を100ccほど入れ野菜が柔らかくなるまで弱〜中火で煮る。
⑤ほうれん草をたっぷりのお湯で茹で1cm幅程度に刻む。このとき葉の横幅も切れるように葉に対し縦にも数回切る。
⑥野菜が煮えたら残りの水600ccを加え沸騰したら一度火を消す。ルーを加えてよく溶かし、再度火をつける。
⑦全体にとろみがついたら⑤のほうれん草を加えて完成!お好みでコーンやにんじんをトッピングしても◎。

ポイント
「いつものカレーにほうれん草を足すだけでも大丈夫です♪ スパイスの風味と油のマスキング効果で野菜のえぐみや苦味が和らぎます。野菜は少ない水と抑えめの火力で加熱することで柔らかくなり、子どもにも食べやすくなります。

嫌がる子が多いにんじんの風味や食感は、小さめの薄切りにすることで気になりにくくするのがオススメ。ルーは油が多く含まれているから炒め油は少なめに、お肉から油が出たらペーパーでとってあげましょう。

ほうれん草の量や大きさはお子さんに合わせて調整してあげてくださいね!」(mako)

ピーマンそぼろ(写真右)

▼材料(大人4人分)
合挽肉:200g
ピーマン:中1個
赤ピーマン:中1個
黄ピーマン:中1個
にんにく:小さじ1/4
しょうが:小さじ1/4
みりん:大さじ2
砂糖:大さじ1
醤油:大さじ1〜2

▼つくり方
①ピーマンは縦半分に切り、タネとヘタを取ったあとさらに縦に半分に切る。
②ワタ(中の白い部分)は苦味が多いため包丁で削ぐように取り除き、縦に細切りにする。長さはお好みで、2〜3等分もしくは短く切る。
③フライパンを中火で熱し合挽肉を炒める。焦げつきやすいフライパンの場合は先に分量外の油を小さじ1杯程度入れて炒める。
④挽肉の色が半分ほど変わったらピーマンとにんにく、しょうがを入れ全体に油をまとわせるように炒める。
⑤みりんを入れてフタをし、弱〜中火で5分程度、ピーマンが柔らかくなるまで加熱する。火力により焦げつきやすいので注意! シャキシャキな食感が苦手な子は水を大さじ1杯ほど加えて、さらに5分ほど加熱するのもオススメ。
⑥砂糖、醤油を入れ全体に調味料が馴染んだら完成! 水分が残っていたら最後に火力を上げて水気を飛ばしてくださいね。

ポイント
「ピーマンは苦手だけどカラーピーマンは食べられるというお子さんにオススメ。ワタを取って苦味を減らし、繊維に沿って切ることで苦味を抑えましょう。

カレーと同じく、油のマスキング効果で苦味を抑えつつ、味つけもお子さんに合わせて甘めなレシピ。お醤油の量はお好みで調整してくださいね♪

それでもピーマンが苦手! という場合はたまねぎを入れてピーマンの量を減らしたり、全体の野菜の量を減らしたりして調整してみてください。ふりかけのようにご飯にかけて食べるとおいしい! 冷凍できるので、日ごろのつくりおきにもオススメです🎵」(mako)

〈施設情報〉

YANMAR MARCHÉ NAGAI

場所:大阪市東住吉区長居公園1-1 ヤンマーマルシェ長居
席数:室内80席、テラス40席
営業時間:10:00~21:00(ラストオーダー20:00)
定休日:なし ※諸事情により定休日は変更になる可能性がございます。
電話番号:06-4703-5516

※申し訳ございませんが、座席の予約については受け付けておりません。直接店舗にご来店いただきますようお願いします。
※テラス席はペット同伴で利用いただけます。ご利用方法については店舗スタッフまで問い合わせください。

詳しくはこちら

Instagram @yanmar_marche_nagai
X @Y_Marche_Nagai