成長した姿を見せて、観客を楽しませたい!

田中智子 Tomoko Tanaka セレッソ大阪ヤンマーレディース

ボールを引き出し、
周りを生かす

約2カ月間に及んだ中断期間を経て、3月から再開するWEリーグ。
今シーズンから新規参入しているセレッソ大阪ヤンマーレディースは、目標に掲げる「5位以内」を目指し、チーム一丸となって戦っていく。
プロ1年目のシーズンに大きな期待を背負う選手たちの連続インタビュー企画、第12回は、周囲を生かす“潤滑油”として機能する田中智子が登場してくれた。

ここまでのWEリーグでは全7試合に先発し、ほぼフルタイムで出場しています。改めて、プレースタイルを教えてください。
前線からのハードワークと、周りを生かして得点に絡むプレーが特長だと思っています。
より具体的に、チームでのご自身の役割とは?
セレッソ大阪ヤンマーレディースは運動量があって、前線からハードワークするチームだと思います。その中で、FWの選手がファーストディフェンダーとしてプレーしないと、(相手に対する守備が)ハマらないと思っています。ハマらないと、チームとしてのハードワークができなくなるので、先頭を切って守備をかけていくのが自分の役割だと思っています。
バックパスを追いかけて奪ったり、相手GKにつっかけたりも積極的にしています。
守備に行かないといけないと思ってプレーしないと、迷わずに行けないので……。迷ったら相手に考える隙を与えてしまいます。守備のときは自分が連続して行くことを意識しています。ただ、後ろの選手とは動きを合わせないとダメなので、止まるときは後ろの声を聞いています。それで一度、(相手のパスコースや動きを)絞ったりするプレーをしています。
90分間動き続けている印象があります。スタミナには自信がある?
チームのプレースタイルとして体力がないとやっていけないので、意識して、しんどくても走ってきました。
矢形海優選手と2トップを組み、流動的に動いてボールを引き出していますね。
矢形選手が結構、合わせてくれています。自分はパスをもらえそうなところにタイミングよく行ったり、味方が動いてほしそうなところを意識し、ボールを受けたりするようにしています。切り替えとかは後ろの選手から指示をもらって、意識する部分が多いです。
FWはトップチームに上がってから。それまでは中盤。その経験がプレーにも出ていると思います。味方を生かすプレーやゲームを作るプレーが効果的と感じます。
ドリブルがあまり得意ではなく、昔からパスが一番好きでした。自然とパスで崩すプレーを好むようになりました。そこで、周りを生かせたらいいなと考えながらプレーしている感じです。今は、ゲームを作ろうとはあまり思っていません。でも、ボールにはたくさん触ったほうが楽しいので、ボールをいっぱい引き出せるように意識しています。
田中、矢形の“ホットライン”はチームにとっての大きな武器[写真]
田中、矢形の“ホットライン”はチームにとっての大きな武器
田中選手にとってセレッソ大阪ヤンマーレディースはどういうチームですか?
中学生の頃からずっと所属しています。サッカーも上達させてもらいましたし、人としても成長させてもらった場所だと感じています。
チーム内での自身のポジション、立ち位置はどうですか?
比較的自由にさせてもらっています。年上の先輩に気を使うこともなく、かといって、年下の後輩にアドバイスする立場でもなく……。したいように先輩に絡んだり、後輩に絡んだり、自由にチームメートと接して楽しんでいます。年齢に関係なく仲が良く、とても楽しいチームです。
後輩選手とのコミュニケーションで意識していることは?
自分が後輩のときに、先輩から話し掛けてもらったほうが話しやすかったので、なるべく自分から話し掛けるように心がけています。
セレッソ大阪の背番号8は特別な番号です。男子では森島寛晃社長や香川真司選手らが背負ってきました。その番号をつける思いとは?
すごい選手がつけてきたのを知っています。足りない部分を考えたら、いっぱい出てくるので、できることを精いっぱいやって、少しでも8番を背負っていける選手になれるように頑張りたいです。

勝たせられる得点を決め、貢献したい

WEリーグ序盤戦の戦績は3勝1分3敗。振り返っての率直な思いとは?
前線からのハードワークは通用していると感じましたが、個々のサッカー理解や、うまさはまだ劣っていると感じたことがありました。アディショナルタイムに点を入れられて負けた試合が2試合続いたので……。最後まで戦い抜いて集中を切らさないことが大事だと思います。
WEリーグで得られているものとは?
個人としてはフィジカルの強さとかが全然通用しませんでした。フィジカル強化などを意識し、徐々に強くなっていかないといけないと感じています。
WEリーグ再開へ向けた意気込みを教えてください。
チームとしても、個人としても、中断する前よりも成長した姿を見せて、観客の人たちを楽しませたいです。ハードワークやゴール前の攻防、得点などを面白いと思ってくださることが多いと思うので、積極的にゴールに向かうようにし、得点を取れるようにしたいです。
C大阪ヤンマーレディースは、「仲が良く、とても楽しいチーム」と話す[写真]
C大阪ヤンマーレディースは、「仲が良く、とても楽しいチーム」と話す
たくさんの観客の前でプレーし、勝利する気分はどうですか?
勝ったときの雰囲気は、チームも観客の人たちもとってもいいので、自分たちもうれしいですし、楽しいです。勝って、チームやサポーターの皆さんを楽しませたいです。
WEリーグ参入前後でかなり違いますか?
WEリーグに入る前からたくさんの人が応援に来ていただいていました。ただ、ファンの皆さんとの交流はWEリーグに入ってから増えています。
男子のチームとの距離も近くなりましたね。
一緒にイベントをする機会が、以前は1年に数回でしたが、今は対談などもさせてもらい、男子のプロ選手はこう考えているんだと学ぶことが多くなりました。
刺激を受け、取り組みや生活で変わったことはありますか?
サッカーをしていないときでも、サッカーのことを考えて食事や睡眠を意識しないとダメだと思いました。以前は大学の課題などで寝るのが遅くなっていましたが、できるだけ12時までに寝るようにしています。食事も甘いものが大好きだったんです。今もちょっとは食べていますが、量を減らし、ご飯をしっかり食べるようにしています。
最後に、今後のキャリアをどう思い描いているか教えてください。
FWとして(WEリーグで)まだ得点という結果が残せていないので、勝たせられる得点を決め、チームに貢献できる選手になりたいです。チームでしっかりと結果を残し、なるべく上位に食い込んでいけるように意識して頑張っていきたいと思います。
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