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香川真司のengine

01
夢を持ち続けること。自分に問い続けること。
スペイン1部昇格を
なしとげる
ために。
スペイン、レアル・サラゴサ。欧州4クラブ目となるこのチームで香川真司は新しい挑戦を始めた。2019年8月に、トルコのベシクタシュからスペイン1部昇格を目指すレアル・サラゴサに移籍。プロ以前から「スペインでプレーしたい」と語っていた香川選手にとって1部リーグで活躍することは夢のひとつ。今、夢をかなえるための闘いが続いている。
(※2020年3月初旬に取材)
Q:現在の状況はどうですか?
今、チームは昇格圏内にあります。チームの調子も良く、選手全員が同じ方向を向いてやれているので、これを継続していけば必ず1部に昇格できるという手応えと自信があります。
Q:どんな想いで取り組んでいますか?
ポジティブにこの順位にいることを喜んでいますが、一方で自分としてはまだまだ結果が出せているわけではないので、残りのシーズンで結果を出すことを目標としています。

チームには経験がある選手としているわけで、その責任感みたいなものは感じています。自分が築いてきたもの、まぁよい結果もわるい結果も含めて自分なりにこれまで闘ってきたことを、他の選手たちは見ていると思うし。練習ひとつにしても、チームの若い選手にいい影響を与えるようにと、自然に意識して取り組むようになった気がします。
先日のスペイン国王杯では、ベスト16でレアル・マドリードと対戦が実現。0-4と敗れたものの、相手チームのジダン監督が前日会見で「キープレーヤーであり、それを証明している」と語った通りのクオリティを随所に見せた試合だった。熾烈なポジション争いのなかでまた挑戦を続けている。
「自分がどうなりたいのか」、
その目標からブレない
人に思いを話すことなく、自分の胸の中で消化するタイプだと言う香川選手。移籍を決断する際も、誰かに相談するのではなく自分自身に問いただして決めたという。ドルトムント、マンチェスター・ユナイテッド、ドルトムント(復帰)、ベシクタシュ、サラゴサとチームとリーグを移り、厳しい環境に挑む原動力はどこにあるのだろうか
Q:香川選手の原動力とは?
やっぱり、「自分がどうなりたいのか」という目標であったり昔からの夢であったり。そういうものが一番の原動力だと思います。それがあるから、厳しいとき、上手くいかないときも頑張れると思う。忘れちゃいけないし、ブラさないようにしたい。
Q:今の目標は?
短期、中期、長期の目標っていうのを立てるようにしてるんですが、長期的な目標はやっぱり高いレベルで、厳しい環境の中でやり続けること。サッカー選手として成長していくこと。そこしかないなと最近よく思います。

ヨーロッパのリーグでは31歳という年齢は戦力としての見られ方も厳しいです。いろんな人にいろんなことを言われますけど、だからこそ、自分がどうなりたいかを常に問いかけながらやっています。
「挑み続けることができる」それは、1つの才能と言えるかも知れない。サッカー少年がプロになり、日本代表になり、世界を舞台にしても、まるで昨日今日にサッカーを始めたばかりのような真っ直ぐな目で選手としての成長を口にできる香川選手。そしてその挑戦をますます楽しんでいるようだ。
恐れず、若さを武器に
挑戦してほしい
30代になり更なる高みを目指し続ける香川選手は、自分の10代を「恐いもの知らず」と振り返る。中学進学と同時に地元神戸を離れて仙台のクラブチームFCみやぎバルセロナでプレーすることを選んだ。その時点からプロになることを具体的な目標とし17歳でセレッソ大阪と契約。18歳でJリーグ初出場を果たしたが、当時は控え選手だった。才能が開花する転機となったのは、レヴィ・クルピ監督が就任し、ボランチではなく攻撃的MFとして起用したことだった。19歳で日本代表デビューを飾るほどの活躍をみせ、セレッソ大阪のエースナンバー背番号「8」を受け継ぐと、27得点を挙げてJ2得点王にも輝いた。
Q:いまセレッソ時代を振り返ると?
今思えば、あの頃の僕は恐いもの知らずというか、プロになったばかりで、日本代表も世界のレベルも全く知らなかった。ただそこでの野心というか、自分より上手い人を追い越していきたいという一心だけでやってました。でも、それが若さの特権だったと思うし、あの年代でしか出せないものだと思いますね。

恐いもの知らずでいることって非常に強いことなんですよね。だから、若い人はサッカーに限らずどんなジャンルであれ、その若さを武器にして挑戦してほしいと思います。自分の想いや信じていることを大切にして、恐れないで欲しい。
香川選手の挑戦。それは、子どもの頃に抱いた「もっと上手くなりたい」という気持ちの延長にある。先日、小学生のときに所属していたセンアーノ神戸の子どもたちが、スペインの香川選手を訪問したという。憧れの選手と会えて心躍る子どもたち。彼らと同じ気持ちを香川選手はサッカーに持ち続けている。レアル・サラゴサでの挑戦は続く。次の舞台はラ・リーガ。バルセロナと対峙する姿が待ち遠しい。