セーリング競技とは
風をセールに受け、それをエネルギー（推進力）に変換することでヨットは水の上を走ります。この自然の力だけに頼って帆走することを、「セーリング（sailing）」と言います。
近年、私たちの生活にかかわるさまざまな場面で、エネルギーの供給が話題となっており、地球環境に対して負荷の少ない再生可能エネルギーについては大きな注目が集まっています。そんななかで、自然由来の風を動力源とし、また自然をフィールドとして、風や波、潮流といった要素を人間の研ぎ澄まされた感覚で捉え、水の上を走るスポーツであるセーリングは、自然に優しく、時代に合ったスポーツであるともいえます。
セーリング競技は、誰よりも早くフィニッシュラインを通過することを競うスポーツです。船をいかに早く走らせるかというアスリート的な側面に加えて、自然条件の変化を常に予測し、戦略を定めていくというような要素も必要不可欠です。体と頭の両方を駆使して走る、それがセーリング競技の魅力といえるのかもしれません。
世界のセーリングイベント
ヨットレースの開催とルール管理に携わる国際機関「World Sailing（WS）」は、世界のセーリング界の総本山ともいえる組織で世界各国のセーリング機関を統括しています（日本は、日本セーリング連盟：JSAF）。世界最高峰のヨットレースは、一般的にはアメリカズカップと言われていますが、レース形式、船の種類、コース（期間）もさまざまであり、単独無寄港世界一周レース（VENDEE GLOBE）やオリンピックと考えてもよいかもしれません。他のプロスポーツと同じように、海外ではヨットレースを生業にするプロセーリング・ビジネスが確立されています。
| WORLD SAILING | 国際セーリング連盟。ヨットレースの開催とルール管理に携わる国際機関。 |
|---|---|
| AMERICA’S CUP |
ヨットレース界で最高峰といわれるレースイベントで、防衛者と挑戦者の1対1によるカップ争奪戦。 次回第37回大会は、スペインのバルセロナで開催されることが決まっている。 |
| THE OCEAN RACE | フルクルーによる世界一周ヨットレース。ウィットブレッド世界一周レース、ボルボ・オーシャンレースと名称が代わり、次回2022-2023大会から「THE OCEAN RACE」となった。 |
| VENDEE GLOBE | シングルハンド（1人乗り）による無寄港世界一周レース。前回大会（2020-2021）では、日本の白石康次郎がアジア人として初めて完走した。 |
| WORLD MATCH RACING EXTREME SAILING SERIES |
WORLD MATCH RACINGはマッチレース（1対1形式でのレース）、EXTREME SAILING SERIESはハイパフォーマンスボートで、それぞれ世界を転戦するサーキット。 |
| Grand Prix Racing | TP52やFAST40といったワンデザイン・ビッグボートにより、世界各国を転戦して年間サーキットが行われる。各チームのクルーは、凄腕のプロセーラーが乗り込む。オーナーがヘルムスマンであることが求められるケースも多い。 |
| Open Yacht Race | 主に、趣味としてセーリングを楽しむアマチュアセーラーたちが参加して行われるヨットレース。世界各国の至るところで、草レースから数百艇が参加するものまで、さまざまなレースが開催されている。 |
オリンピックのセーリング競技は、パリ五輪では10種目が採用されている。1～2人乗りの小型ディンギー（カイトサーフィン含む）を使って競技が行われる。ユース向けの艇種からステップアップしていき、各国でオリンピックへとつながる育成活動が実施されている。
