デジタル中期戦略
ヤンマーグループは「省エネルギーな暮らしを実現する社会」、「安心して仕事・生活ができる社会」、「食の恵みを安心して享受できる社会」、「ワクワクできる心豊かな体験に満ちた社会」の実現を通じて、持続可能な社会「A SUSTAINABLE FUTURE」を創り出すことをパーパスとして定めています。
2022年度にスタートした中期戦略では、これら4つの社会の実現を目指すために、エネルギー変換・社会インフラ・食料生産・ワクワクの4つの分野で事業展開を行っています。
不確実性を増している世界情勢や SDGs への取り組み、デジタル化の急速な進展など、グローバルに経営環境が変化する中、ヤンマーグループの事業領域においても脱炭素社会への移行や食料生産における労働力不足、世界規模での食料供給不足などへの取り組みが求められています。
このような状況はもとより、ヤンマーには創業当初から「人をより豊かにしたい」という思いが根付いており、未来をより良いものにしたいと思う人の可能性を信じ、挑戦することを後押しする「HANASAKA(ハナサカ)」という価値観を大切にしています。
デジタル化は人々の可能性を広げ、より良い未来に向かって挑戦していくために必要不可欠な取り組みの一つです。ヤンマーグループは中期戦略の重点課題の一つとして「次世代経営基盤の構築」を設定しており、2022年7月にはCDO(Chief Digital Officer)を設立し、デジタル化への実行体制を構えました。必要なデータをタイムリーに入手・分析することで経営を効率化し、お客さまへの付加価値を創出できる会社に変わることを目指していきます。
ヤンマーホールディングス株式会社 代表取締役 COO
山本 哲也
ヤンマーグループは、「食料生産」と「エネルギー変換」といった人々の暮らしに不可欠な領域で、社会課題やお客さまが抱える課題に向き合い、お客様に対する価値創造企業になることを目指しています。デジタルの分野でも、デジタル技術を活用することで新たな価値を創造し、お客様に貢献することを目標にしています。
そのため、現場でお客様のニーズを踏まえ、必要なシステム・ツールはどんどん現場で自主開発する、必要なSaaSは導入してどんどんお客様の価値に繋げていく、というのを基本的な考え方としています。
その目標実現のために、中期的に取り組む4つの重点取り組み事項につき全社を挙げて取り組んでいるところです。
まず一つ目はデータの更なる活用と分析により、お客様に価値を提供していくということです。我々は様々な事業活動の中で多くのデータを取得できますが、それをお客様の価値を実現するような提案に繋げるために、AIや機械学習も活用しています。
二つ目は、現場でRPAやノーコードのツールなどを活用して業務の改善に繋げている社員の皆さんを組織化し、学びあい刺激しあう環境を提供し、草の根のDX活動を盛り上げていくことです。特に孤立しがちな現場で取り組む方々をコミュニティ化することは非常に有効だと感じています。
三つ目は全体のデータ基盤の再構築と、個別の基幹システムのモダナイゼーションです。これらは必要なデータが必要な正確さ・粒度でタイムリーに分析や見える化のツールに供給されるために必須の取り組みだと思います。
四つ目は基盤となるインフラやサイバーセキュリティです。これらは安全・安定的に事業を行いお客様に価値を創造し続けるには重要な基礎となります。
以上を実現していくためには人材の育成や文化の変容が重要です。
ヤンマーではHANASAKAという考え方を非常に重要だと考えています。未知の可能性を応援し、みんなで未来をワクワクできるものに変えていく、自分でチャレンジする人を称え、応援していく。
以上で述べた自主的にデジタルに取り組む方々の活動を奨励し、盛り上げていくことはまさにHANASAKAの精神を支える活動であると思います。
このような活動を通じ、デジタルを通じて世界に今までにない驚きや感動を生み、価値を創造していく次の世代も育てていきたいと思っています。
ヤンマーホールディングス株式会社 取締役 CDO
奥山 博史