おいしく安全で栄養豊富な食料を、世界中いつでもどこでも。あらゆる人が、もっと健やかに生活できること。
- 大規模農業への対応
- 担い手農家の効率化による生産性向上
- 災害や天候不順による農産物への影響
- 後継者不足による離農
ヤンマーマルシェ株式会社
農林水産業は気候変動の影響を受けやすい産業です。日本における年間の平均気温はこの100年で1.3℃上昇し、2023年の夏期は統計開始以降でもっとも高温となり、農産物の品質低下が発生しています。また、気象の激甚化による降雨量の増加で、冠水被害や農業設備が被災しています。
消費者に安全で安心できる農産物を届けるため、各生産者の気候変動対策は喫緊の課題ですが、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用は費用負担が大きく、対策の遅れが課題となっていました。
ヤンマーマルシェ株式会社は、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)とともに、パートナー生産者が「水稲栽培における中干し期間の延長」方法論に準拠したお米の栽培に取り組み、GHG排出量の削減や、創出されたJ-クレジットの流通による新たな農業モデルを構築するための支援を行っています。
「中干し」とは、水稲栽培の途中で行われる水田の水を抜いた状態(落水期間)のことで、この期間を長くすることにより田面が乾き、メタン生成菌の働きが弱くなるため、メタンガスの発生が減少します。農林水産省は、この方法論を普及させるため、J-クレジット制度を活用した「水稲栽培における中干し期間の延長」プロジェクトを推進しています。
NTT Com が提供するIoTセンサーやアプリを使用して、J-クレジットの申請における生産者の管理負担を軽減するとともに、ヤンマーマルシェが営農支援と収穫したお米のブランディング支援を行うことで、生産者のビジネス拡大に貢献します。2023年は、福井県と滋賀県のパートナー生産者5カ所のほ場で、多収・良食味米「にじのきらめき」を対象に中干し期間の延長を行い、J-クレジットの創出と品質の調査を行いました。その結果、CO2削減量は44t-CO2(杉の木約5,000本が1年間に吸収するCO2排出量に相当)※となりました。
J-クレジットの販売は、カーボンオフセット活動に取り組む企業への直接販売や、東京証券取引所での販売などを行っており、カーボン・クレジット市場活性化による脱炭素社会の実現に貢献します。
2024年3月には、都内を中心にオフィス向けフードサービスを提供する株式会社StoryCrewと共同で、収穫したお米を使用したお弁当を期間限定で販売。お弁当にはアンケートを付帯し、エシカル消費に関する実態調査を実施しました。また、2024年10月を目途に株式会社NTTドコモが運営する「dショッピング」で販売開始予定です。