CSR・環境

VISION 01 省エネルギーな暮らしを実現する社会

エネルギーの可能性を拡大。安価・安全な動力、電力、熱を、いつでも必要なとき必要なだけムダなく使えること。

  • 温室効果ガス(GHG)排出量の削減
  • 再生可能エネルギーの推進
  • 省エネルギーの追求
  • 未利用エネルギーの活用
ヤンマー製舶用水素燃料電池システムを搭載した洋上風車作業船が世界で初めてゼロエミッション航行に成功
もみ殻処理と脱炭素の課題を解決する「もみ殻バイオ炭製造装置」の実証試験を開始

ヤンマーパワーテクノロジー株式会社

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、成長が期待される14分野の一つとして、「船舶産業」が位置付けられています。実行計画では、近距離・小型船向けとして水素燃料電池システムなどの普及促進や、2025年までにゼロエミッション船の実証事業を開始することなどが期待されていました。
こうしたことを背景に、公益財団法人日本財団は、日本における運輸部門のCO2排出量の5%を占める内航海運からのCO2排出量をゼロにするため、水素を燃料としたゼロエミッション船の開発に焦点を当て、水素燃料電池洋上風車作業船の技術開発を実施するコンソーシアムへの支援を進めていました。
同作業船のパワートレインは電気推進システムが採用されており、コンソーシアムは同システムの全体統括ができる事業者を探していました。ヤンマーパワーテクノロジーは、舶用燃料電池や電気推進システムの分野において国内で最も実績があり、コンソーシアムからの技術協力の要請に応じました。

水素燃料電池洋上風車作業船「HANARIA(ハナリア)」によるゼロエミッション運航の実証実験が、2024年3月から4月にかけて北九州市の小倉港で行われ、世界で初めてCO2排出ゼロの航行に成功しました。この船に搭載されている舶用水素燃料電池システムは、トヨタ自動車が生産する燃料電池自動車(FCEV)「MIRAI」用の燃料電池ユニットを活用し、ヤンマーパワーテクノロジーが開発しました。

HANARIA

「HANARIA」は、全長33メートル、総トン数238トン、旅客定員は100人で、2台の水素燃料電池、蓄電池、バイオディーゼル発電機関、電力制御、推進機器、遠隔監視など、ヤンマーパワーテクノロジーが統合設計(システムインテグレート)した電気推進システムが搭載されています。このヤンマー製電気推進システムの採用により、水素燃料電池と蓄電池のみで航行するゼロエミッションモードや、水素燃料電池、蓄電池、バイオディーゼル発電機関で5台並列運転を行うハイブリッドモードなど、船内の最適なエネルギーマネジメントを実現しています。特に水素燃料電池システムと蓄電池のみでの航行ではゼロエミッションを実現するとともに、動力源の振動や騒音を大幅に低減し、排気ガスの臭いが無い、快適な船内環境を提供しています。

小倉港と白鳥沖洋上風力発電施設の間で行われた実証実験では、往復30kmの距離を、出発から到着まで水素燃料によるゼロエミッションモードで航行し、約3時間45分にわたってCO2を排出しないゼロエミッション航行を実施しました。水素燃料電池船の普及のためには、舶用水素燃料電池システムの国際規格作りや、港湾における水素供給体制の構築など、業界を超えてルールの策定やパートナー構築を進めていく必要があります。各方面と協力しながら、引き続きカーボンニュートラルの実現に取り組んでいきます。

  • 実証実験のコンソーシアム:株式会社MOTENA-Sea(全体統括)、商船三井テクノトレード株式会社(プロジェクト事業化検討)、本瓦造船株式会社(水素燃料船の設計・建造)、関門汽船株式会社(運航)、大陽日酸株式会社(水素供給・調達)
  • 燃料使用時に、水しか排出しない水素の利用を通じて、内航船のCO2排出量をゼロにし、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する。
  • 洋上風車作業船(CTV)としての利用だけでなく、内航貨物船や国内の旅客船など、さまざまな船型への導入、採用促進の可能性が見込まれる。
  • Crew Transfer Vesselの略称
  • ヤンマーエネルギーシステム株式会社

    米づくりにおいて、収穫後のもみ摺り時に毎年大量に発生するもみ殻の処理が課題となっています。かつて行われていた野焼きは禁止されており、国内で発生する年間約200万トンのもみ殻は、一部で燃焼処理されたり、たい肥などに利用されたりしているものの、十分に有効活用されていません。また、脱炭素社会の実現に向けて、カーボンネガティブへの貢献も検討されており、もみ殻の有効活用と脱炭素の両面において解決策が求められています。

    大気中のCO2が増加しない。
    もみ殻に含まれる炭素が燃焼により大気中に放出されても、新たな稲の光合成で同等の炭素を吸収

    大気中のCO2が減少する。
    1台当たり、年間400tのもみ殻を処理するとCO2換算で117t分の炭素固定が可能(もみ殻に含まれる炭素量の約20%を固定)

    もみ殻:約1日分の処理量(約2.4t)
    バイオ炭

    ヤンマーエネルギーシステムは、2019年から、もみ殻ガス化発電システムで実証していたバイオ炭製造の部分に着目して「もみ殻バイオ炭製造装置」の開発を進めていましたが、本格的に商品化を目指すため、2023年10月に同装置の実証試験を開始しました。滋賀県高島市にある西坂農機株式会社今津営業所の協力のもと、実証試験を行い、2024年度中の商品化を目指します。
    本装置は、高温燃焼によって臭いも煙もないクリーンな排気を実現するとともに、製造されたバイオ炭は、高温処理によって通常のバイオ炭よりも多孔質でさまざまな物質を吸着できる性質を持っています。年間400tのもみ殻を処理した場合、CO2換算で117t分の炭素固定が可能となるバイオ炭が生成でき、農地に施用(投入)することで、カーボンネガティブに貢献できます。また、化石燃料を一切使用せず、電気ヒーターでもみ殻に着火した後は、もみ殻の持つエネルギーだけで炉内を800~1000℃の高温に維持でき、消費電力も約1.5kWと非常に省エネルギーで、運転時の音もとても静かな特徴があります。

    本実証試験では、未利用資源(もみ殻)を活用した循環型農業と、バイオ炭の土壌施用による炭素固定を通じて、農業分野での脱炭素化に向けた技術の確立を目指します。また、もみ殻の燃焼時に発生する廃熱の利用も検討していきます。もみ殻の処理費用削減や、生成されたバイオ炭の利用拡大、カーボンクレジットなどを活用した収益化など、装置導入による環境面や経済面でのお客さまのメリット確立を目指します。

    また、バイオ炭の今後の可能性を追求するため、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業にも参画し、コンソーシアム各社と土壌病害菌を抑制するなどの効果を示す有用微生物の機能が付与された「高機能バイオ炭」製造技術の研究開発も進めています。

    もみ殻年間処理量 400t/年(4,000h/年)
    もみ殻バイオ炭年間製造量 100t/年
    (炭素固定量※117t-CO2/年)
  • CO2換算値。実際には製造時および施肥時のCO2排出量を別途減算する必要があります。
  • バイオ炭の土壌施用による循環型農業の確立と、炭素固定を通じたカーボンネガティブで農業分野でのカーボンニュートラルに貢献する。
  • もみ殻燃焼時の廃熱を利用することでエネルギーの有効活用に寄与する。
  • マネジメント

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